ステンレスのレーザー加工で厄介なピアッシングの“ひげ”について
1.“ひげ”とは
ステンレスのレーザー加工時にはピアシングで必ず加工面に“ひげ”ができます。
“ひげ”の正体は表面に星形のようにできるスパッタです。
2.厄介な“ひげ”
“ひげ”は百害あって一利なしです。何故か?
- “ひげ”があるとノズルが“ひげ”の上に来ることで本来のワーク板厚より厚みが増すため、その結果加工不良になる確率が高くなる。
- ステンレス加工は食品・薬品機械などの部材が多く、とにかく加工面にドロスやスパッタの付着は厳禁です。製品形状から離れたところからピアッシングすることで防げます。しかしφ5以下の小穴加工の場合は“ひげ”が穴径以上に広がり不良を出してしまう事例も多く回避は難しくなります。
3.“ひげ”対策はあるの?
①基本は加工表面に“ひげ”付着しにくい界面活性剤(俗に食器洗い用の洗剤)を刷毛等で塗って加工します。しかし完全に“ひげ”レスには難しいと思います。
その場合は少し費用がかかりますが溶接でも仕様するスパッタ防止材を使用することをお勧めします。
*ページ下部にある加工写真(1)、(2)、(3)をご参照ください。
②溶液を加工面に塗ることが禁じられている板材の場合にどうするか?これはもうできるだけ“ひげ”が広がらない加工条件を特別に作成し活用するしかありません。
ただ、完全な“ひげ”レスにはなりませんし、ピアッシングの時間もかかってしまうので加工時間が長くなります。
4.「レーザー加工における加工トラブルの原因と対策」を無料でダウンロードいただけます!
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5.まとめ
一番有効なのはスパッタ防止材ですが、すべてがレーザ加工でのピアッシングひげ対策に有効なわけではありません。
レーザ加工機お役立ちナビでは、実加工して効果を確認した薬剤をユーザー様から教えて頂き効果を確認しました。もし”ひげ”対策でお困りの方は詳しい情報をお教えいたしますのでご一報ください。
また、薬剤を塗ることは、販売先から禁止されている場合、三菱電機ユーザー様であれば“ひげ”をできるだけ小さくできるピアッシング加工条件の提供を検討させていただきますのでご連絡ください。
■加工例
(1)
何もせずに加工しました。 “ひげ”が目立ちます。左上の穴の“ひげ”がすごいですし、外周の“ひげ”も加工不良を起こす可能性あるものです。 |
(2)
界面活性剤(台所用洗剤)を塗って加工しました。 若干“ひげ”が小さくなりましたが、小穴や外周に“ひげ”の痕跡が見られます。 |
(3)
スパッタ防止材を塗って加工しました。 小穴や外周に“ひげ”の痕跡がありません。 これが一番効果ありますね。 |